第5章

回転する数

2乗して−1になる数ってどんな数? そしてなぜそれが揺れるの?

第5章:回転する数 ↗

数は矢印

ミカ: 前回、ばねにはa2=−4a^2 = -4が必要だった。テオはそんな数は存在しないと言った。でも、そんな数はそもそもどんな形をしているんだろう?

すべての数を、数直線に沿って0から伸びる矢印だと考えてみよう。2を掛けると矢印は伸びる。½を掛けると縮む。そして−1を掛けると反対向きにひっくり返る。つまり半回転だ。

ジューン: おお。×(−1)が半回転なら……半回転の半分は何? 4分の1回転だ! 矢印は数直線から外れて、まっすぐ上を向く。

この4分の1回転に名前をつけよう:i。2回やれば半回転、つまり×(−1)になる。だからi⋅i=−1i \cdot i = -1。2乗して負になる数、これで見つかった!

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i2=−1(4分の1回転が2つ=半回転)i^2 = -1 \qquad\text{(4分の1回転が2つ=半回転)}

テオ: 待って。これって「虚数」だよね。誰でも知ってる、でっち上げの数。本物の物理的なばねを表せるわけがない。

ジューン: 虚数じゃなくて、横向きなんだよ! ただの2次元の矢印さ。左に曲がるのも、前に歩くのと同じくらい現実的だ。

3+2i3 + 2iのような数は、ただ「前に3歩、横に2歩」という意味だ。この矢印の平面全体が、これから先のすべての舞台になる。

回転を測る

ジューン: iが4分の1回転なら、これから一日中矢印を回すことになるね。じゃあ、矢印がどれだけ回ったかはどう言えばいい?

度は古い習慣だ:1回転が360度なのは、昔の暦が360という数を好んだから。数学者は円そのもので回転を測る。半径1の車輪を転がして、その縁がどこまで進むか見てみよう。弧の長さがちょうど半径1つ分になる角度が1ラジアンだ。

まず予想しよう! 1回転は何ラジアン?

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回る矢印の先を追いかけよう。その実軸への影を角度のコサインcos⁡θ\cos\theta、よこの軸への影をサインsin⁡θ\sin\thetaと呼ぶ。一定の速さで回すと、2つの影はどちらも波を描く。サインはコサインより4分の1回転遅れている。

ミカ: わかった。じゃあ毎秒2ラジアンの回転子は、1秒に2回転するんだ!

テオ: 1秒に2回転なら2回転ぶん、つまり4π4\piラジアンだよ。毎秒2ラジアンだと、1回転するのに2π/2≈3.142\pi/2 \approx 3.14秒かかる。

新しい言葉

ラジアン
弧の長さが半径1つ分になる角度。1回転は2π2\piラジアン、半回転はπ\piラジアン。
コサインとサイン
角度θを向いた長さ1の矢印の影:実軸に沿った影がcos⁡θ\cos\theta、よこの影がsin⁡θ\sin\theta。

回転する数

回転の速さはラジアン毎秒で測る:毎秒2ラジアンで回るものは、2π/2≈3.142\pi/2 \approx 3.14秒で1回転する。記号ωはこの回転の速さを表す。

次に、一定の速さωラジアン毎秒で円のまわりを走る点を想像しよう。その速度はどこを向く?(速度は第3章にも出てきた。上下だけなら符号つきの数だったけど、平面では向きをもつ。だから動く矢印の速度もまた矢印だ:先端がどっちへ、どれだけ速く動くか。)いつも円に沿った方向、つまり点への矢印より4分の1回転先を向く。

4分の1回転は×iで、速さはω×半径。だから速度は、位置を4分の1回転させてωを掛けたもの:速度 = iω × 位置。

テオ: 待って。「傾きが自分自身の定数倍」というのは、第4章の指数関数の性質そのものだ! a = iωとして。

ミカ: でも待って。第4章では、累乗は「何回掛け算したか」という意味だった。eeのiθi\theta乗って、いったい何? eeをiθi\theta回掛けるの?

ジューン: 第4章のやり方で組み立てればいいよ。eeは、nn回の小さなステップを重ねたもので、1回ごとに1n\frac1nずつ増えた。今度は、小さなステップをそれぞれ横向きのちょっとしたひと押しにするんだ。

eiθ=lim⁡n→∞(1+iθn)ne^{i\theta} = \lim_{n\to\infty}\left(1 + \frac{i\theta}{n}\right)^{n}

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各ステップは矢印を小さな角度、約θ/n\theta/nラジアンだけ回し、ほんの少しだけ伸ばす。ステップを増やすと伸びは消えていき、道のりは円の上に着地する。ちょうどθラジアン回ったところだ。だからラジアンなんだ:小さな横向きのひと押しが、縁に沿って積み重なっていく。つまりeiθe^{i\theta}は、単に角度θにある円周上の点だ。

つまりeiωte^{i\omega t}は全然怖くない。半径1の円のまわりを毎秒ωラジアンで回転する点だ。それを見て、実軸に落ちる影を見てみよう:

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ddt eiωt=iω eiωt実軸への影=cos⁡(ωt)\begin{aligned}\frac{d}{dt}\,e^{i\omega t} &= i\omega\,e^{i\omega t} \\ \text{実軸への影} &= \cos(\omega t)\end{aligned}

影は完璧なコサイン波として前後に滑る。回転する矢印を横から見ると、揺れになる。揺れはここに隠れていたんだ。

ここまでにわかったこと

わかったこと

  • 数は矢印。掛け算はそれらを回転させ伸縮させる。i は4分の1回転、つまり i2=−1i^2 = -1。
  • ラジアンは、弧の長さが半径1つ分になる角度:1回転は2π2\pi。cos θとsin θは、回した矢印の影。
  • eiθe^{i\theta}は、小さな横向きのステップ(1+iθn)n\left(1 + \frac{i\theta}{n}\right)^nから組み立てると、角度θにある円周上の点になる。
  • eiωte^{i\omega t} は円の周りを回る点。その影はコサイン波。
  • 回転子の速度は、いつも位置より4分の1回転先を向く:速度 =iω×= i\omega \times 位置。これはa=iωa = i\omegaのときの指数関数のルールそのものだ。

ミカ:「じゃあ、ばねの謎の数はやっぱり存在したんだ。2iだ。ってことは、本物のばねは横に揺れるの?」

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